出張日記

2007年

5月1日(火)

11時成田発。16時Frankfurt着。フランクフルトの市内へ。フランクフルトの空港から町の中心部のアクセスのよさは世界でもトップクラスである。10分で中央駅に着く。駅で明日の切符を買う。駅前のHotelサボイに宿泊。18時半にもう眠りについてしまう。

5月2日(水)

ホテルを朝6時にチェックアウト。7時半空港発の飛行機でstuttgartへ。

シュツットガルト空港

そこから地下鉄を乗り継いで9時にBenz-museumへ。思ったよりも大きい。外観はどう見ても不恰好である。エントランスがわかりにくい。しかし内部の空間作りは面白い。ダブルスパイラルからなる空間構成は面白く。途中踊り場で接点になっている。しかし、時として注意していないと、ある展示スペースをスキップするおそれがある。三角形状の中央のアトリウムの頂部から自然光が入ってくる。その周りに展示室が配置されていて、スロープで下に下りてくる。ダイムラーベンツの歴史を展示しているが、クラシクックカーは見ていて面白かった。地下のミュージアムショップは展示に比べると貧相。

  

 Benz-museum

正午前タクシーでstuttgart中央駅へ。そこから列車でdarmstadtへ。ヨゼフ・オルブリッヒの芸術家村に行く。成婚記念塔は5本の手の指を握り締めて空へ突き出した様でもある。内部は記念塔の迫力に比べると見劣りする。1階のエントランスホールは面白いが、屋上の展望室を含めてごくごく普通の内部空間。この塔は下屋の部合に連続している。現在は結婚式場に使われているのが面白い。王の宮殿はオルブリッヒのデザインでよるがモダンとクラシックがいい按配にブレンドされていて面白い。この時代の近代建築はどれも面白い。この王はずいぶんと芸術が好きで芸術家を周りの住まわしていろいろな作品を作らせている。その展示は面白かった。ウィーンのゼゼッション、ウィーン工房の流れをとれる。家具陶器調度品のデザインは見ていて飽きない。ここを出てかつての上面玄関をみる。正面に据えられた階段を上って正面に玄関がある。両側にはいかにもクラッシク・ウィーン的な芸術が施されている。芸術家の住宅群も面白い。特にペータ・ベーレンスの住宅は自ら設計したものである。これが彼の処女作である。これで建築に目覚め、画家から建築家にて転向したといわれる。

  
ヨゼフ・オルブリッヒの芸術家村


ペータ・ベーレンスの住宅

十分に堪能したあと、列車でdarmstadtからフランクフルト中央駅へ。そこから、地下鉄に乗り換え空港へ。フランクフルト空港発21時。 ポルトについたのは深夜0時過ぎ。そのままホテルに直行。



5月3日(木)

起床後、朝食をそそくさと済ませ。ポルト駅から特急にてコインブラへ。ここはポルトガルの古都である。ここの大学はイタリアのボローニャ大学、スペインのサラマンカ大学とともに世界三大の古い歴史を持つ大学としてしられる。今回の目的はここを流れるモンデゴ川にかかるarupのセシル・バルモンド設計による、歩行者専用の橋とその河岸に作られた河岸ランドスケープを見るのが目的である。まず橋。文句なく面白い。手すりのデザインがユニークで三角形の面を3次元に複雑につなぎ合わせたものでしかもそれぞれの三角形の中は色ガラスで施工されていて、独特の雰囲気をかもし出している。橋のデザインも一本の橋がリニアに置かれているのではなく、2本のラインが中央で平行にずれるように意図的にデザインされている。この構成は新しい。河岸にデザインされたランドスケープも楽しい。ところどころ河の上に突き出した木製のブリッチにベンチが置かれていて休憩のための空間になっている。驚いたことにその一番奥にアルバロ・シザ設計のハノーヴァー博パビリオンが再現されていたことである。

  

  
セシル・バルモンド設計による、歩行者専用の橋

  


アルバロ・シザ設計のハノーヴァー博パビリオン

そこからタクシーを拾いパティオに面した美術館を見学。ここはもとサンタクルス修道院の一部であったものを現代美術館に改装したもの。内部に露出するティンバーフレームが見事である。休憩中であったが美術館の人の好意ですべて見ることができた。そのパティオに面した。レストランで昼食。おいしかった。後で知ったことだが、このレストランはポルトでも老舗で有名である。テレビでプラシド・ドミンゴが映っていてテノールを披露している。聞けば、昨日からコインブラに来ているのだとか。そこからコインブラを発ちポルトにむかう。ポルト14時30分着。タクシーでポルトガル国立博物館へランドスケープとのコラボイレーションが実に見事に成功している。内部は期待ほどではなかった。

  
ポルトガル国立博物館

そこを見学後OMAコールハース設計のムジカホールへ。内部に入るがほとんどのドアーが開いていた。これは昨今のヨーロッパの建築では考えられないことである。メインホールもその脇のロビーもすべて見学できた。外観の単調さに比べると内部空間は実によく、考えられている。後で断面図を見てわかったことだがコールハースは断面で相当のスタディをしている。で無ければあれだけの複雑な空間をつくりきれない。内部に比べると外観はややありきたり。特に周囲の広場のデザインがあまりにもそっけなく、もう少しやり様があるのではないかとおもわれた。見学後 港に面した住居郡・街を見学。正面には エッフェル設計の有名な鉄骨のブリッチが天高くかかっている。このあたりはポルトでも有名な観光名所なのだ。そこから、、ケーブルカーで上部の端の袂まで上る。上りきったところにカフェがありそこで休憩。その後ホテルに戻り、パッキング。
   ムジカホール

  



5月4日(金)

朝7時30分の飛行機でリスボンに向かう。ホテルに荷物を置いた後。ベレンの塔へ。ここは3年前に来た事がある。ベレンの塔から歩いて最近A+Uに発表されていたレストランへ。これは鉄骨で作られてレストランで解体移動が可能なものに見える。川側の開閉できる大きなガラス戸が前面両側に引かれ開放されている。そのために、鉄骨の鴨居と敷居が両側に大きく出ている。これがデザインとしても利いている。頭上はトップライトがスリット状にはいている。今風であり快適である。そこから歩いてジェロニモス修道院へ。途中、ラファエル・モネ設計の博物館を見る。全面石張りで圧迫感が強すぎる。先ほどのレストランとはまったく対象的である。ジェロニモス修道院・中庭を見た後、市内を歩く。サンタ・ジェスタのエレベーターに乗って頂部カッフェまであがる。その後、目抜き通りのシーフードレストラン ここはたまたま入ったのだが、後で知ったことだが有名なレストランだそうだ。グリルド・フィッシュが圧巻で縦長の大きな皿に7種類の魚が並んでいる。味も良かった。そこから大通りに出てタクシーでホテルに戻る。

 

 ベレンの塔近くのレストラン

ジェロニモス修道院



5月5日

起床後空港へ。11時リスボン発。13時30分マドリット着。タクシーでホテル・PuertaAmericaへ。このホテルはホテル全体をJ.ヌーベル、各階を異なった建築家が設計している。チェックインの際、各階の写真が入ったアルバムを見せられ客は自分で階を選ぶ仕組みである。ただし、ホテルの従業員のマナーはあまりよくない。3泊するので毎晩異なる階に泊めてほしいと頼んだがそのつど1泊につき60ユーロを追加するとのこと 仕方なくツアーを頼んだところ2から3階分しか見せられないという。相当にサービスが悪い。ここには1泊だけしたほうが良い。10階の磯崎さんの部屋を選ぶ。インテリアは真っ黒。全体が黒の仕上げなのである。救いはバスルーム。インテリアもここだけは白く、しかも大きめな桧風呂。これは日本人にはうれしい。荷物をといた後、13階のJ・ヌーベル設計のバー及び反対側のウィングスイミングプール・各階のエレベーターホール及び、廊下、1階のJ・ポーソン設計のレストランバー、エントランスホールを見学・撮影。その後地下鉄でセラーノ通りへ。スペインに来ると定番なのだが、カンペールで靴を購入、その後アドルフ・ドミンゲスへ行きジャケット2枚、スーツ1着シャツ5枚購入。これがスペインに来るときの楽しみである。その後レストランで夕食。ホテルに戻る。

   




5月6日

朝食後。タクシーでプラド美術館へ。9時オープン前に着くが、すでに300人以上並んでいる。30分ほど待たされて入る。ここでいつも真っ先に見るのはベラスケスのラス・メニーナス。1階にラファエロ、エル・グレコ、ゴヤ、ボッシュ、ブリューゲルなど。それにしても、プラドはいつもくるたびに展示が変わっている。5月の連休なので圧倒的に日本人が多い。その後、ソフィア王妃芸術センターのアトーチャ駅側にJ・ヌーベルが増築した棟を見る。中央に中庭を造り上部に大屋根がかけられているのはルツェルンと同様。こちらの方が中庭がある部分の空間は面白い。その後南バスターミナルいき、トレド行きのバスに乗る。1時間足らずでトレドへ。タクシーでカテドラルへ行きそこを起点に街を散策。最後に遅いランチを取るため、屋外のカフェへ。英語は通じない。隣の老夫婦が助けてくれる。聞けばカリフォルニアから来ているとのこと。同じテーブルでビールで盛り上がる。結局、ランチをおごってもらい挙句の果てにホテルまで車で送ってもらった。桧風呂に入り就寝。

 


トレドの街の建築



5月7日

起床後、マドリット在中のPilorとFurankが車で迎えに来る。Pilorはスペイン人。

Furankは中国系マレーシア人。AAスクールで知り合い、結婚し。現在はマドリットに9ヶ月でプアランプールに3ヶ月のペースで仕事をしている。スペインは今好景気で仕事が多いのだ。彼らの車で北部の新しい開発地区へ。MVRDVの集合住宅や現在建設中でA+U
にも紹介されたスペインTeleforicaの本社ビル(といっても多くの棟からなる中央にある中庭外部空間がよくデザインされている。)を見学。全面ガラス張りしかも1mほどの隙間は取りに重なっている。隙間といっても外部なので外側ガラスの目的がよくわからない。


MVRDVの集合住宅

  
スペインTeleforicaの本社ビル

Pilarの尊敬する先日亡くなったスペインの建築家Mirallesの設計した教会を見る。この曲線が外側に開いた平面で中央の窪んだとことが祭壇、中央といっても窪みで分けられた空間は大きいものといえるものになっている。つまり祭壇を前後からみる形式でコンサートホールでは良く見えるのが教会では初めて。祭壇の上部はトップライトになっている。祭壇が浮かび上がる仕組みになっている。大きな祈りの空間の壁にはブルーのガラスブロック埋め込まれてコントロールされた光が入る。といっても中央祭壇の光を邪魔するものではない。いい空間である。その後市内へ戻る。友人のエンリケがコンペで勝ち取り最近実現したインドアスタジアムを見学する。しかし、連絡が取れず内部は見れない。やむなく近くのレストランへ。シーフードレストランへ。プルポをリクエストする。プルポはたこの輪切りをオリーブ油と塩で炒め、唐辛子をかけたシンプルなもの。白ワインとは絶妙なコンビ。この料理はギリシャの名物だが、マドリットでも十分うまい。他に巻貝、イカ墨のパエリアなどなどの魚料理をいただく。おいしい。その後インドアスタジアムの内部見学。アルコールが入っているので上り下りはきつかった。その後ホテルまで送ってもらう。休憩。夜は市内の日本料理レストランで僕が2人を招待。スペインそしてヨーロッパのEVの問題。将来建築の傾向などを深夜まで話し込
み。帰り際におすすめの生ハムをお土産にもらう。再会を約束して分かれる。

  
Mirallesの設計した教会

  



5月8日

空港へ。10時30分発のルフト・ハンザでフランクフルトへ。フランク・フルト13日夜発。成田へ。

5月9日

9時着。到着後、体が熱いので計ったら38.8度。迎えに来てもらった事務所の車の後ろで横になり寝込む。

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