出張日記

2007年

5月19日

15時30分発のANAで羽田発。ソウルへ向かう。18時ソウルのGimpo空港着。友人のキムさんが迎えに来てくれた。彼の車でウエスティン朝鮮ホテルに。チェックイン後、南大門市場のメガネ屋へ。度付きのサングラスと遠近両用のメガネを作る。サングラスは明日夕方ホテルに届けてくれるとのこと。その後キムさんの招待で韓国料理レストランへ。韓国料理と言っても、焼肉の類ではなく 宮廷料理を出すお店で上品。日本風の懐石料理風で野菜中心である。小さな皿に盛られ多くの料理が少量づつ運ばれてくる。チャングムの話で盛り上がる。終わった後ホテルまで送ってもらう。


5月20日

10時キムさんホテルへ。2人で最近完成されたサムスンミュージアムへ行くこれはJ・ヌーベル、クールハース、マリオ・ボッタが棟を分担しながら設計を担当している。実施設計を担当した韓国の大手設計事務所の人が案内してくれる。3人の招待建築家は基本設計で実施設計は地元の設計事務所が担当したとのこと。そのためコールハース棟はあまりにもまとまり過ぎでコールハースらしくない。J・ヌーベル棟も彼独特の強いアイディアが無く物足りない。マリオ・ボッタの部分はいかにも彼らしくまとまっている。特に内部のスパイラル吹き抜けがよかった。そこからアンニョンへ。ソウルから車で1時間程。アルヴァロ・シザが設計した美術館をみる。小さな美術館だが、外壁の曲面や1部2階が内部に露出する所などはいかにもシザらしい。全体をおおう曲面の屋根も外観に良く現れている。周囲の環境は背後に山、前面は川が流れ、アンニョン市の公園になっている。そこにこの建物は建物を低く抑えうまく溶け込んでいる。近くのレストランで冷麺を食べ市内に戻る。キムさんが設計した、彫刻家の家を見学に。そこで家内と会う。家内は午前中、チャングム・ビレッジを見学に行っていたのである。キムさんはロシア大使館のパーティに招かれているとのことでスタッフにホテルまで送ってもらう。ホテルからタクシーに乗り、アンティークの卸売りが集まっているマーケットへ。あいにく日曜日でほとんど休み。仕方なくロッテ・ショッピングセンターで買い物。モンブランのメモ帳を購入。疲れたので11階のレストランフロアへ。回転寿司を見つけ入る。韓国にしては割高と思える値段。高級なのかも知れない。寿司が出てきて驚いた。ネタが大きくシャリが見えない程。まず最初に頼んだ えんがわがおいしかった。分厚く肉もコリコリしている。天然ものだ。周りに日本人客はほとんどいないが、板前は日本語が通じる。僕が韓国の人があまり食べないものを頼み続けるので物珍しそうに覗き込む。十分に堪能した。ホテルに戻りそのまま就寝。


5月21日

9時にキムさんが迎えに来る。国立ソウル大学へ。最初に眼前にコールハース設計の美術館が見えてくる。両側にキャンティレバーが大きく突き出した建物である。しかし、内部に入って驚いた。すぐ入ると、左手に地下から最上部のトップライトまで吹き抜けた空間が目に入る。外周の両側に取り付けられた縦のピッチが5mm程度のポリカが外からの光を透過し美しい。通常は撮影不可なのだが、キムさんの手配でキュレーターが自ら案内してくれた。先日ポルトで見た、ムジカ・ホールもそうだが、断面が実に良く考えられている。コールハースは断面から思考していると思える位に内部空間が練り練られ面白い。階段、スロープ、ホールの段床、吹き抜けが巧みに扱われ、ドラマチックな内部空間を作り出している。考えてみれば、初期の段階からユニークな断面を作り出してきたのだが、ここにきて極致とも言える位に断面の扱いが巧くなっている。それらが外観とも矛盾なくリンクしている。うまいと思ったのが展示室の1/3位が吹き抜けになっていて、そこまでスロープで降りていく仕掛けで吹き抜け下は段床になっていて、展示室の床下奥まで続いている。そのスロープが実はアプローチ側の外観の斜め床となっている。キャンティレバーを作る大きなH鋼のトラスが内部にも露出し効果を上げている。そこから建築学科のキム教授をたずねる。すると歴史の教授と一緒に1階まで迎えに来てくれ、恐縮する。学科内を案内してもらう。教授室・製図室。ソウル大学は5年制でUIAにあわせている。中央ロビーに2年生の課題作品の模型が並べてあった。マリオ・ボッタのRiva San Vitale Houseの横に異なるクライアントのセカンドハウスを設計するものだがレベルが高い。1年生から実技に入っているそうだ。9日にソウルでの公演を依頼される。歴史の田教授より彼の著書を贈呈される。ハングルで文章は読めないが、韓国の都市史だそうで、ピョンヤン、ソウルなどの古図が多く含まれていて興味深い。そこでソウル大学ホテルレストランで昼食。このソウル大学ホテルは2001年日韓学生によるワークショップをソウル大学で開催したときに宿泊した処で懐かしい。当時日本から教官として僕、岸和郎、板茂、小島一浩、西沢立衛の5人がここに滞在した。今ではこのメンバーが1週間同じ場所でこのようなイベントを行うことは不可能だろう。そこから 金浦ジンポ空港へアシアナ航空15時55分発18時羽田着。

 

 
コールハース設計の美術館


ソウル大学の製図室

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