出張日記

2008年

1月26日

オーストリア航空で、11時成田発16時ウィーン着。空港前のエアポートホテルに宿泊。


1月27日

朝ウィーン空港7時発。10時30分過ぎイスタンブール着。
今回の仕事はイスタンブールのショッピングセンターをイスタンブール在住の山本達也氏と協同で取り組むことになり、1週間ほど滞在してコンセプトを練るための出張。
エアポートからアジア側のホテルに向かう。途中、第2ブリッジをわたってボスポラス海峡を越える。山本氏が取ってくれたホテルが素晴らしかった。ウスクダルのフェリー船着場の正面に向かって部屋からボスポラス海峡が見下ろせる。しかも、窓は、床から天井まで幅も目いっぱい全面ガラスのためボスポラス海峡その背後にのヨーロッパ側が見渡せる。

今回でイスタンブールは、7,8回目であるが、いつもヨーロッパ側の旧市街に泊まるのでアジア側は初めて。荷物を解いて早々と外に出る。フェリーでヨーロッパ側のエミノニュに渡る。その船着場からルステン・パシャモスクが正面に見える。トラムに乗り、エフメット駅へ。ブルー・モスク、ハギア・ソフィア、トプカプ宮殿と回る。ここは、約1年前にも自らの著作の写真撮影のために来ているが家内は初めてなのでガイドしながら自分の知識の確認を行う。再び駅近くに戻り、レストランへ。観光レストランだが、十分に楽しめた。トルコ・アナトリア地方のワインを飲みやや酔っ払ってトラムでエミノニュへ行き、フェリーでウスクダルへ戻る。

 

ブルー・モスク内部

ハギアソフィア内部

1月28日

朝10時半、山本氏がホテルに迎えに来る。彼の車でオフィスへ。彼のオフィスが入っているこのビルは彼が設計したもの。以前、NHKのイスタンブール特集番組で山本氏が説明していたビルだ。事務所は、広々としている。早速、コンペの打合せ。担当はメフメット君。山本さんを交えて条件を話し合う。その後、メフメット君が進めている案を説明してもらう。事務所で昼食をとり、その後敷地を見に行く。オフィスは、アジア側にあるが敷地はヨーロッパ側にある。そのため、ボスポラス海峡を越えて行く。空港へ行く途中に敷地はある。敷地は、インターチェンジに面した高台で条件は良さそうだ。それにしても寒い。粉雪が舞う中、広大な敷地を見て回る。その後、クライアントに挨拶に行く。市内に戻る途中、FOAが最近完成させたショッピングセンターを見に行く。かなり大きなものだ。中央の広場を取り囲むように広場は作られている。その広場は、デッキが段々状に中心に行く程低くなっている。周りの建築の屋根はギザギザと折り込まれてたようなデザインになっている。

 

 FOA設計のショッピングセンター

その後、トルコの伝統料理レストランへ。山本氏のトルコ人の奥さん、娘さんも同席。奥さんの運転でホテルまで送ってもらう。


1月29日

10時30分、迎えに来た車でオフィスへ。少し打合せした後、市内にある大きなショッピングセンターを見学に。最初に行ったのは、最近出来たショッピングセンターへ。マレーシアやシンガポールにある中央に大きな吹抜けを持ったタイプの建築である。フードコートは完全にグローバルフード。トルコ料理はここでは、マイナーである。並んでいる店舗も欧米系のものが多い。特に別館のブランドショップ館はヨーロッパの有名なブランド店がひしめきあっている。その後、ジャーディーの設計したショッピングセンターへ。博多にあるキャナルシティと同じ空間構成。中央にS字形に曲がったプロムナードが走る。その両側にコリドール、店舗が三層程に重なって立ち並ぶ。しかし、ジャーディーはここで大きなミスをした。イスタンブールの冬は厳しく寒い。しかも北風が強いのである。そのため中央のコリドールを冷たい風が吹き抜けてしまう。冬になると客足がばったりと途絶えてしまうそうだ。あと1,2年ももたなのではないかとの事。

 最初に行ったショッピングセンター

  ジャーディー設計のショッピングセンター

3つ目のショッピングセンターは、イスタンブールでも初期のもの。市民に人気があるそうだ。ここで遅い昼食をとる。オフィスに戻って、会議室で山本氏、メフメットを交えて3人がスケッチを描きながら案を詰めていく。かなり集中してやったので、随分と問題がクリアになった。ホテルと高級集合住宅棟、シネマ棟とショッピングを中庭を中心にした案を考えていく。敷地の角には、地下鉄の駅が将来できることになっているのでそちらのアプローチも重要。打合せ後、山本氏とタクシーでホテルへ行く。家内が合流し、そこから歩いて近くのレストランへ。ドアを入るなり右手に食材やデザートが並んでいる。ここは典型的なトルコ料理レストランとの事。ボーイのサービスが良い。味も美味しい。残念なのは、アルコールが飲めないこと。トルコ料理店では、よくあること。やはりイスラム教国なのである。十分に楽しんだ後、ホテルに戻る。


1月30日

朝9時にホテルを出て近くのミフノニュモスクへ。まだ開いているのだが、ガードの人が親切で内部の照明をつけてくれて、2階席まで含めて隅々まで案内してくれる。このモスクの特徴は、モスクの建築に直接回廊が取り付いていること。その回廊も十分に広いスペースでここでもお祈りが出来る。ミマール・シナンの傑作である。フェリーに乗り、ベシクタシュへ。そこからタクシーでオーストリア航空へ行こうとするが、住所が間違えていて散々探し回った後、結局、東京の事務所へ電話して正確な場所を教えてもらう。そこでチケットの変更をした後、タクシーでグランド・バザールへ。バザールを1周し買い物をした後トラムでエミノニュへ。そこからフェリーでウスクダル・ホテルに戻る。車で迎えにきてもらってオフィスへ。コンペ案を山本氏、エフメット氏を交えて打合せ。

打合せ後、第一ボスポラス橋と第二ボスポラス橋の間にあるアジア側のフィシュレストランへ。このレストランの場所が素晴らしい。ボスポラス海峡に突き出した土地でしかもレストランが海峡に直接面している。レストランの窓の外はもう海で魚が泳いでいるのが見える。その向こうには、ライトアップされた第二ボスポラス橋が見える。2階に案内される。ボスポラス海峡の夜景を楽しみながら贅沢な料理を楽しむ。トルコのワインもなかなかいける。屋上はテラスになっていて夏は、ここで食事をするそうだ。十分に楽しんだ後、ホテルに戻る。

 レストランからの夜景


1月31日

今日は、イスタンブールに来て初めての快晴。山本氏の勧めでフェリーで市街地へ。波止場からエジプシャン・バザールへ。そこから歩いてかつてのオリエント・エクスプレスの終着駅へ。駅の構内は、オリエント・エクスプレス時代の様々な品々や写真を展示したオリエント・エクスプレス博物館がある。ここは、面白い。オリエント・エクスプレス全盛時代の食堂車の食器や切符、列車の部品、車掌の衣装など見ていて飽きない。そこからトラムでエフメット駅まで行き、地下宮殿へ。ここに以前来たのは、10数年前。当時はもっとさびれていた。観光用なのだろうか、余りにも水面の上を歩くための通路が多すぎる。せっかくの水の上に浮く柱の空間が台無しである。そこからトプカプ宮殿の下にある国立博物館へ。さすがに歴史ある国だけに展示内容がすごい。特にアレキサンダー大王の棺といわれているものは、見応えがある。ギリシャ、ローマ、ビザンチンの展示品がずらりと並ぶ様は圧巻である。

オリエント・エクスプレスの終着駅

その後、フェリーでアジア側のウスクダルのホテルに戻り、車で迎えに来てもらいオフィスへ行き打合せ。夜は、ヨットハーバーにあるフィッシュレストランへ。ヨットハーバーはボスポラス海峡を出たマルマラ海に面しているので、イスタンブールの南端である。マルマラ海は黒海のように南でいったんすぼまった後、エーゲ海に出る。エーゲ海を出ると地中海である。エーゲ海はちょうどギリシャとトルコに挟まれた格好になる。そのため、古代ギリシャの有名な都市のトロイ、ベルガモンなどと言っても現在のトルコ側にあるものも多い。そのため、オリーブはトルコ側の方が美味しいとトルコ人はよく言う。事実、イタリアに大量のオリーブを輸出している。マルマラ海に面したこのヨットハーバーは広大である。トルコの裕福な人達がこの地域一帯に住んでいるそうだ。

食事は、マルマラ海で採れた新鮮な魚介類が中心で美味しい。街中の安いレストランに行っても美味しいし、貧しさは全く感じられない。市内に多くあるショッピングセンターに行っても平日から多くの人々がショッピングやカフェを楽しんでいるし、特に最近は物価高でちょっとした高級店に行くと東京とほとんど雰囲気も味も値段も変わらない。この国に比べたら食生活も文化も貧しい日本が何故、経済援助をしなければならないか単純な疑問が湧いてくる。贅沢な食事を楽しんだ後、夜のヨットハーバーを回る。日本にこれだけ広いヨットハーバーは無い。市内への帰り、ショッピング街を通り抜けるが、インテリアもヨーロッパ並みである。しかし、ほとんどが家具店である。銀座や青山に比べたら、内容は見劣りするが、雰囲気は美しい。




2月1日

朝食後、フェリーでヨーロッパ側へ。波止場の反対側にあるモスク、ルステンパシャへ。ここはミマール・シナンの設計でバザールのど真ん中にある。1階が店舗で2階がモスク。このようにモスクがの周囲に店舗がある。例は、イスラム世界に多い。店舗の賃料がモスクの運営費となるのだ。このルステンパシャモスクの2階の半分は。屋外広場になっている。そこにモスクが面している。広場とモスクの間には、庇に覆われた空間が作られここも礼拝堂空間である。ここのモスクの特徴は、平面が八角形になっている。そのため、柱間をつなぐアーチは8ケからなり、その上にペンデンティブドームが載っている。通常、モスクは正方形だが八角形は珍しい。中には六角形のものもある。そこからバザールの坂を上がりながら抜け、上部のスレイマンモスクへ。ここは、1年前に着たばかりである。内部は、修復中で入れなかった。スルタンの墓などを見て回った後、エジプシャンバザールまで降りていく。そこからイエニエモスクへ。丁度、金曜日の午後1時過ぎたので祈りを終えた多勢のムスレム(イスラム教徒)が出てくるところだった。

 
バザールのど真ん中にある八角形のモスク     スルタンハッサンモスク

 
ミマールシナンの墓               海から見たスレイマンモスク

イスラム教徒は1日5回のお祈りをする。夜明け、昼近く、午後3時頃、日没時、それに昔だと就寝前といった見合い。モスクを見学した後、フェリーでウスクダルのホテルへ。

オフィスに行き最終打合せを行う。
今夜は、最後の夜ということで、ヨーロッパ側のタクシン広場近くのレストランへ。タクシン広場から繋がるショッピング街を歩く。とにかくすごい人出で活気がある。通りから右脇へ入る。天井の高い屋根付きプロムナードの両側にはフィッシュレストランが並ぶ。どの店も店先に魚を並べて新鮮さを競っている。呼び込みも激しい。観光用なのだろう。そこを出たところの店に入る。地元の人々で店内は一気に盛り上がる。人々は、一斉に独唱し、踊り始める。その熱気に圧倒される。宴会は、深夜まで続いた。フェリーでアジア側に戻る。深夜でもフェリーは人であふれ返っている。


サバサンドの店                店先に魚が並んでいる


2月2日

朝食を済ませたところで迎えの車が来る。一路空港へ。10時30分、イスタンブール空港発12時ウィーン着。Airport Hotelにチェックイン。結局、今夜のオペラのチケットは取れず。Driendl氏に電話で夕食の約束。荷物を解いた後、バスでお湯に浸かる。その後、タクシーでヴェルベ・デーレへ。美術館でクリムトを見る。タクシーでケルトナー通りへ。いつも行く書店で2冊の本を購入。タクシーでDriendl氏のオフィスへ。6時過ぎに旧友達が集まってくる。その後、近くのレストランへ。ここは、ウィーン料理専門店。そこから歩いてトルコ・バーへ。ここは、トルコ人の経営で客もトルコ人が多い。2006年の大晦日にトルコ人彫刻家のアトリエ兼家でニューイヤー・カウントダウンのパーティが行われた時に出会った人も数人居た。客の中で一人プロの歌手がいてトルコの伝統楽器で民族音楽を歌ってくれる。やはり、彼らが最初に歌ったのは、「ウスクダル」である。深夜まで続く。タクシーでホテルに戻ったのは、深夜を過ぎていた。


2月3日

起床後、荷物のパッキング。その後ゆっくりと湯舟につかる。このようにゆっくりと出来るのがAirport Hotelの良い所だ。10時過ぎ空港へ。ラウンジに荷物を置いて買い物へ。14時ウィーン空港発


2月4日

9時30分成田着。


出張日記リストへ inserted by FC2 system