出張日記

2008年

5月9日

午前9時30分、ルフトハンザ航空で成田発。午後2時フランクフルト着。
空港ラウンジで3時間程休憩。午後6時フランクフルト発。午後7時20分ザグレブ着。
今回の出張は、ザグレブとドブロフニクでの日本建築家による講演会。日本からは、槙文彦、隈研吾、塚本由晴、貝島桃代夫妻と僕の4組の建築家が参加。
ザグレブ空港にはAlexanderが迎えに来ていて、まっすぐホテルへ。ヨーロッパはこの時期、流石に日が長くまだ明るい。
ホテルはThe Regent Hotel、駅前広場に面しているファイブスターホテル。チェックイン後、近くを散歩。このホテルは、駅前広場に面した建築的にもここでは、有名なもの。
シャワーを浴びて仮眠していると主催者のRusanから「槙氏が到着したので食事をしよう」と連絡がある。1階のレストランで夕食。


5月10日

午前8時30分、朝食。午前10時にガイドと槙氏と3人でザグレブ市内ツアー。ザグレブの街の構成は至ってシンプル。駅は、かつての旧市街から南へ下った所にある。駅と旧市街を市民の公園が南北に結んでいる。旧市街にはカテドラル教会やかつての市の主要な施設が建っている。旧市街の市民広場から背後の山々から斜面を下るように通りが走る。これらの通りに面して、かつては様々な職人工房、店舗が並んでいたようだが、現在では空家が目立つ。主な商業施設は、旧市街と駅を結ぶ地区に移っている。最近では、更に駅の南側に公共の建築なども多く建てられている。
12時30分から羊肉専門のレストランで昼食。羊肉専門のレストランがあるのは、トルコ文化の影響だろう。バルカン半島には羊肉を食べさせる所が多い。ここの料理方法は、独特なものだ。子羊一頭を串刺しにして回転させながらじっくり焼き上げるのだ。そのため、肉そのものよりこんがりと焼き上がった皮が美味しい。食べ方は生ねぎをかじりながら食べるのだが、焼いた皮とねぎの組み合わせは、さながら北京ダックを思わせる。
昼食の途中で隈氏が現れる。この焼いた羊の皮は、美味しかった。

その後、ホテルに戻り、着替えて講演会場に。ワインを飲み過ぎたのでかなりきつい。
会場に入って驚いた。大ホールなのである。1,500人収容のホールだそうだ。

講演会場の様子

講演は、僕がトップバッターで次に隈氏。途中、塚本、貝島夫妻が到着。最後に槙氏が講演。
講演終了後、郊外のレストランへ。地元の建築関係者、マスコミが参加してにぎわっていた。


5月11日

午前5時30分にホテルを出発。
午前7時発の飛行機でザグレブからドブロフニクへ。午前8時30分着。
車で市内へ。到着後ドブロフニクの旧市街にある民宿へ。
僕は槙氏と同じアパートで、北側の斜面階段を上がった所にある。荷物を持って階段を上がるのはかなりきつい。僕の部屋は、階段の踊り場に面した所。
しばらく休憩後、午前10時に東側のカテドラル教会前の広場に集合。
ツアーガイドの案内で市街地ツアー。このドブロフニクはアドリア海の真珠と呼ばれ、ヨーロッパでも最も人気のある観光スポットの一つである。アドリア海に突き出したようになっていて周囲は、堅固な城壁によって囲まれている。市の中央を東西に大きな通りが走る。
プラカと言われ、ここはかつて海になっていて南側の島と北側の斜面に建つ2つの市街地が対立していた。
南側にはローマ人が、北側にはスラブ人が住み、やがてここが埋め立てられ現在の市街地が完成した。中央の大通りプラカの東西の両端はそれぞれ東門、西門になっている。北側の斜面がきれいなグリット状になっているのに対し、南側のかつての島の部分は、複雑な地形に沿うようにイレギュラーな細い路地が曲がりくねるように網の目状のパターンを作っている。そのため、北側のグリット状の道は、プラカから斜面上に背後の山々まで見通せるのに対して、南側の路地空間は三次元的に入り組みその上を建物が覆う。
その路地は曲がりくねり、階段が様々なレベルを作り出し、所々に上部を覆うアーチ、ドーム、ヴォールトがダイナミックな都市空間を作り出している。ツアーは市役所、カテドラル、ロマネスク教会などを巡る。


ガイドは、どうしてもこのような特殊な建物だけを案内する。しかしこの街は長い時間をかけて作られたアノニマスな街空間を見る方がはるかに楽しいのだ。12時30分にレストランへ。プラカから北側の路地に長いテーブルが置かれた屋外レストラン。それにしても最高の気候だ。先週までは寒く雨が降り続けていたそうだが、今週に入って気候も地中海式気候、気温も25度程で気持ちが良い。
ランチ終了後、一旦アパートに戻り講演会の準備。またまた僕がトップバッター。またまたランチで飲んだワインがききすぎ。
会場に駆けつけると、そこはかつての城壁内の集会場。石造りのヴォールト空間が重厚な空間を作り出している。昨日に比べると聴衆の数は少ないが、雰囲気は良い。2回目なのでさすがによどみなく1時間で終える。

 


塚本・貝島夫妻、隈氏の講演の間(既に、昨日彼らのレクチャは聞いていたので)アパートに戻り、休憩。午後6時、上階の槙氏の部屋に行き講演会場へ案内。槙氏が講演中、夕暮れのドブロフニク市内を散歩する。槙氏の講演終了後、ハーバーに面したレストランへ。市役所の人々も同席。終了したのは、夜の11時近く。


5月12日

午前9時にカテドラル教会前の屋外カフェで槙氏、隈氏、塚本氏と4人で朝食。貝島氏は早朝日本に向けて既に飛び立ったそうだ。1時間程かけて朝食。隈氏は、昼過ぎのフライトで飛び立つのでそこで別れ、槙氏、塚本氏の3人で城壁へ上る。城壁の上は、遊歩道になっていて市を取り囲んでいる。城壁は市街地よりも高く造られているのであちこちから街を見下ろすことができるので構成が手に取るように分かる。北側斜面の方から海側へと下って歩くが、結構斜面もきつく階段が多いので、万里の長城程ではないにしても容易ではない。ハーバーの方まで歩きそこで城壁を降り、3人でボートをチャーターする。45分のツアーだがドブロフニクの城壁をアドリア海側から見るのはなかなか良かった。海側から見ると確かに堅固に見える。途中、クイーン・エリザベス2世号が停泊していた。この客船は地中海をクルーズしながら、様々な街々(イスタンブール、ギリシャの島々、ナポリ、シチリア島、マヨルカ島、モロッコの街々など)を訪ねていくそうだ。

 

 


ボートから降りて、イタリア料理のレストランへ。その後、プラカのカフェで休む。
槙氏は夕方の便でたつので、城壁外まで見送りに。その後、アパートに戻り眠る。午後6時30分、広場で塚本氏、彼の研究室の博士課程の学生 能作氏と会い、その後3人でレストランを探し回る。塚本氏が勧めるレストランで夕食。ドブロフニク料理(アドリア海の海の幸を中心としたもの)を堪能しワインもたらふく飲んだ。アパートに戻ったのは午後11時30分近く。


5月13日

午前6時起床。アパートを出て、午前6時30分に城外の車乗り場に行き、迎えに来た市役所の車で空港へ。空港は、ここから30分程度。途中、ドブロフニク市街を遠望から見下ろす。格好なポイントを見つけ、そこから市街の上部に朝日が当たる風景を撮影。
途中、運転手が「昨日のニュースで中国で大きな地震があった」と伝えられる。午前8時15分、ドブロフニク発。午前10時フランクフルト着。午後1時55分発のルフトハンザ、成田行きに乗る。


5月14日

午前8時成田空港着。

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