出張日記

2008年


9月14日

起床後朝食前に街へ撮影に。

カターニア空港から、ローマ経由でバーリ空港へ。珍しく荷物が全部着いた。空港から一路、車でアルベロ・ベロへ。途中、チステルニーノへ立ち寄る。あいにくの雨。この街は細い路地と白い壁の街。雨のため何となく暗くて憂鬱な街に思えてしまう。しかし、こちらはプロの建築家。雨などの情緒、気分で街を見てはいけない。心を引き締めて、できるだけクールに見ていく。ギリシャの街並みと同じボキャブラリーから作られている街。


白壁は細い路地でも十分に光が届くように、そして夏は厳しい太陽光を遮るためのものに違いない。このような平地に密集して住んでいるのは、外敵の侵入から守るためと恐らく建築資材を少しでも節約するために街が連続している。つまり壁の共有、路地の上に建物がまたがる等。その結果、このような密度の高い空間が作られた。しかも風などの流れが閉じ込められないように外部空間は作られている。これは21世紀の地球環境のためのコンパクト・ハウジングのモデルともなりうるものだ。これだけ密集して作られると上下水の配管、電気、通信系のケーブルなどのインフラの工事量も圧倒的に縮小されるはずだ。

 


しかし、確かに気持ちの良いスケールで町のつくりも美しいのだけれども、新しい建築や集落を求めるものにとっては今ひとつインパクトに欠けている。せっかく来たのに得るものはさほどないのだ。数多く見れば見るほど目が肥えるじゃないかなどという人もいるが、こちらはもう35年近くも、100カ国以上を歩き回ってきたのだ。物足りない。アルベロベロには夕暮れに着く。夜のアルベロ・ベロはなかなか良かった。雨が降っているせいもあり、人影も土産物やも閉まっている。そのため、街の空間をじっくりと楽しむことができた。ホテルで紹介してもらったレストランへ。これは旨かった。しかも安い。地下空間のヴォールト空間のレストランはやはり雰囲気がある。夕食後もアルベロベロの街を散策する。


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