出張日記

2009

4月2日

18時から東京デザインセンターで恒例の花見の宴。
ここで出会う知人、友人も多いので楽しい花見だ。
そこから東京駅へ。20時30分成田日航ホテル着。


4月3日

8時半起床。ANAで成田空港10時半発。北京空港13時30分(現地時間)着。
この飛行場は、ノーマン・フォスターの設計で昨年のオリンピック前にオープンした。

これを見るのは楽しみだった。瀋陽へのフライトは16時30分なので十分に見学時間はあった。素晴らしい。空間が良い。フォスターのデザインはいつものハイテックなディテールがこれでもか、これでもかと見せつけるように嫌味な位に派手に目立つのだがここではそれがない。オレンジ色に塗られた三次曲面を作る細い部材が透けるようにワン・ウェイのルーバー状天井が空間を優しく覆っている。


ここで、いつものフォスターだと柱と梁のジョイントは凝りに凝るのだが、ルーバー天井に隠れて見えない。そのため天井はシンプルだ。しかし、うねるような三次元の1枚天井はダイナミックだ。


ターミナル間は電車で結ばれているが、車体といい、駅といい、良くない。ここは、中国側がデザインしたのかもしれない。


荷物を受け取るバゲージ・クレイム・エリアはRCの梁とルーバーの対比が美しい。圧巻は軸線上にターミナルが置かれ、エンドは駐車場ビルになっているがその最上階は格子で組まれた巨大なドームがトップライトに覆われている。この空間もシンプルでいい。巨大な空間なのだが、格子を強調し、しかも全面トップライトなので極めて明るく覆われているという圧迫感を全く感じさせない。


これはフォスターが得意とするところで、大英博物館の中庭しかりである。出発階と到着階はあちこちに作られた吹抜けが空間を連続させている。そこに上下する動く歩道やエスカレーター、エレベーターが作られているのは、バンコク空港や関西空港のようでもある。


惜しまれるのはサインと家具。
これは中国側がやった部分でセンスが全く感じられない。十分に久しぶりに建築を見ることを楽しめた。16時30分北京発。17時30分瀋陽着。
市の関係者が迎えにきてくれた。そのまま、ホテルシェラトンへ。3階の中華で12名程の夕食会。やはり、本場の中華料理は旨い。21時30分部屋に戻る。





4月4日

今回のプロジェクトの敷地2箇所を見学。1箇所は東北大学内。研究所の施設。もう1つは北瀋高速道(北京と瀋陽を結ぶ620km)を瀋陽から西に250km程行った、葫芦島(フルダオ)。

到着後、昼食。魚介類が旨い。


ここから120km程、更に西に行くと万里の長城が海に突き出る山海関、更にその向こうは天津だ。

周囲を山に囲まれ前方が渤海湾に面した農村地帯にニュー・ビジネス・センターが計画され工事が始まっている。その一角の文化センターが我々のプロジェクト・サイト。もともとは小さな漁村。

考えてみれば明治維新の横浜なようなもの。小さな漁村が大都市に変貌する。しかし、これは現実なのだ。10年後には全体が完成するとのこと。確かに中国は不景気なのだが、瀋陽市といい、ここといい、あちこちで大きな工事が行われている。敷地見学途中、子供達がリーベンレン(日本人)と叫びながら僕の後を珍しそうに付いてくる。

しかし、快活な動きと目の輝きは中国の強さだ。市役所の建設局でプロジェクトの説明を受ける。マスタープランの模型を見せてもらう。


その後、再び高速で一路瀋陽へ。どこまでも大地が広がる。夕陽が圧倒的に美しい。かつて日本人が望郷の念にとられたのは満州の夕陽である。


19時ホテルにもどり、夕食会。乾杯(カンペー)する。



4月5日

9時から11時半まで、ホテルのロビーでプロジェクト打合せ。

スケジュール、設計料、支払い条件など。昔に比べると中国も随分スマートになった。スムーズに行く。そのまま空港へ。ANA便で14時瀋陽発。空腹だったので和食とワインがうまい。ビジネスクラスでも、先日のエジプト航空のファーストクラスよりもはるかに上等。17時45分成田着。そのまま、千葉オークラホテル宿泊。明日は、千葉工業大学の新1年生の入学式がここで行われるのだ。

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