出張日記

2008年


9月16日

朝食後、街の中を散歩する。今日は途中、マテーラに立ち寄りながらアマルフィを目指す。島を出て一路マテーラを目指す。

高速道路を途中、脇に入り、山の中を上って行くと山岳都市マテーラが現れる。急な斜面に建てられた山岳都市は地中海沿岸には数多く存在する。モロッコのアイト・ベン・ハドゥ、ギリシャのサントリーニ、シチリアのラグーサ、アマルフィ等々。しかし、この街が他の都市と異なるところは一度死んだ町であるということである。

廃墟都市なのである。


確かに街中を歩くと朽ち果てた建物に出会う。しかし現在、イタリア政府はこの街をよみがえらせるべく、人々に廃屋を売り出し、住民を増やそうとしている。人気もあるそうだ。事実あちこちで内装工事が行われている。しかし、改装された新しいところは違和感があり、この街の死臭に合わない。僕ら建築家はこういう町を見る時、かつての街並のイメージを頭の中で作り上げる。そのイメージを元に空間、街路、外観、仕上げ、スケール(大きさ)などをひたすら思い描いていく。マテーラで一番興味のあるのは、人のいない不気味な空間である。足も自然とそちらに向かう。谷の間を道が走る。小高い丘から望むマテーラの街はやはり圧巻だ。


斜面は岩壁が垂直に何層にも重なって作られている。その岩壁を利用しながら洞窟住居が作られている。カッパドキアの住居に似ている。階段と壁間をつなぐアーチなどが作る空間も見所である。

 

 

アノニマスに作られた階段は自然の高低により面白い造形が作られている。洞窟住居を復元した部屋が公開されている。内部には石灰岩がそのまま露出している。そのため、思ったより室内は明るい。


 

しかし全体として期待していた程ではなくいまいち感動がなかった。

そこからハイウェイを飛ばしてサレルノを経由して海岸線沿い。崖の上を走る道路を通って夕方アマルフィ到着。

ホテルは道から入ったドゥオモ広場の正面のチェントラーレホテル。





9月17日

朝、ホテル屋上のテラスでゆっくりと朝食をとる。そこから正面にドゥオモ、その前面に大階段、更に眼下に広場を見下ろすことができる。アマルフィは前面が海、背後は断崖絶壁に囲まれているため、外敵の侵入から自らを守ることが出来た天然の要塞である。海側から見るとこの街の構成が良く分かる。

海岸に沿って道路が走っている。そこから山側に入るとすぐ、ドゥオモが広場がある。その広場から丁度両側の斜面の谷底を山に向かってメインストリートが作られている。

 

斜面上に建物が作られ、街が出来ている。そのため、ほとんどの住居は階段を上っていく必要がある。通りの両側のあちこちに、上部に至る階段が通りに面している。

 

階段を上って行くのは相当きつい。所々、階段上部に土地を最大有効利用するためである。建物が覆うように作られている。

 

中央のメインストリートにしても平地を最大限有効に利用するために道路幅がかなり狭いために十分確保できないので道路に平行する歩道が建物に面する建物のすぐ脇にトンネル状に作られている。


 

海から見て右上の一番高い丘は墓地になっている。ここまでくると街全体が見渡せる。ドゥオモの鐘楼も正面に見える。この塔はイスラムなどの様々な要素が混じっていて面白い。
この街のシンボルでもある。街の上部の斜面は、レモン畑に成っている。



夕方、ポジターノへ船で行く。ほとんど見るところなし。

アマルフィに夕暮れに戻り、夕食。



9月18日

アマルフィから車でナポリ空港へ。

ナポリ空港12時発。ミュンヘン空港14時着。

かつて僕の事務所で働いていたマーチン君が空港に来てくれてお茶を飲む。16時ミュンヘン発


9月19日 

朝8時、成田着。




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